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健康学Q&A
栄養学
2019.06.18
健康学Q&A NO.11 活性酸素とはどういうものですか?
体の健康をキープするために、今からどんなことに取り組んでおけばいい?
皆様から多く寄せられる質問に対し、矢澤先生がQ&A方式で分かりやすく解説します。
活性酸素は“老化を引き起こす敵”という認識をされている方も多いのではないでしょうか。その考えは間違いではありませんが、100%正解とも言い切れません。そもそも活性酸素とは“活性”と言われるだけあり元気のある酸素です。人間は酸素を吸わなければ生きていけませんが、体内に取り込んだ酸素の数%がエネルギーを作り出す過程で活性酸素に変化します。元気がある活性酸素は、体内に侵入してきたウイルスや細菌を排除する防御の役割を果たしますが、その数が増えすぎてしまうと、ウイルスなどを駆逐するだけでは飽き足らず、正常な細胞にまでダメージを与え、その結果、病気を引き起こします。制御がきかなくなってしまうのは増えすぎてしまうからであり、活性酸素そのものが、根っからの「悪」というわけではありません。
人生100年時代と言われますが、できれば天寿をまっとうしたい。あるいは、私もそうですが、「逝くならぽっくり」なんて笑い話にしている方もたくさんいらっしゃいます。そんなささやかな願いを邪魔するのが、数が増えすぎて“悪玉”になった活性酸素です。引き起こす主な病気は、高血圧、糖尿病、がん、脳卒中、心筋梗塞などの生活習慣病。一度かかってしまうと、ぽっくり逝くどころか、長くつらい治療をしなければならないケースもある厄介な病気ばかりです。
では、病気の原因となる活性酸素はなぜ増えるのか?という疑問に行き着くと思います。その大きな要因が現代の生活習慣にあります。満たされながらも乱れた食生活、ストレス、喫煙、過度の飲酒、紫外線、ウイルスや細菌など活性酸素が増える要因は現代人の生活を見回すと枚挙にいとまがありません。人は生きていくうえで酸素を必要とするため、活性酸素と付き合っていくのは宿命です。また、現代社会に生きる人にとって、活性酸素を増やさない生活は難しいかもしれません。“活性酸素を増やしすぎない”ことをキーワードに生活することが大切になってきます。
活性酸素を増やさない生活というのは簡単なことではありません。ただし、喫煙は大量の活性酸素を発生させるので禁煙を心がける、あるいは無理して働きすぎない、紫外線を浴びすぎない…など、そういった生活習慣の見直しはすぐにでも始められますので即実行しましょう。
加えて意識したいのが「抗酸化成分」を摂ること。ご存知の方も多いと思いますが、ビタミンA・C・Eなどは優れた抗酸化物質です。また、それ以外にもブルーベリーなどに含まれるアントシアニン(ポリフェノールの一種)、大豆のイソフラボン、ゴマのセサミノール、緑茶のカテキンなどさまざまな抗酸化成分があります。そうした抗酸化成分の中で近年注目されているのが「アスタキサンチン」です。エビやカニの殻に含まれる赤い成分と紹介されることが多いですが、アスタキサンチンの抗酸化力はビタミン E の実に500倍とも言われ、現代人の健康の救世主とも言える力を持っています。アスタキサンチンの働きについては、またいずれご紹介することとしますが、ポイントは「生活習慣を見直して、活性酸素を増やさない」「増えた活性酸素は抗酸化物質で除去する」ことを意識しましょう。
この記事を監修された先生
早稲田大学規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長。長年、企業や大学の研究機関で食の安全や健康食品の研究に従事。食べ物がいかに体に作用するかを分かりやすく解説。