Health
栄養学
2021.01.19
【特集】始めよう!腸活習慣
免疫力アップのカギは腸!腸が変われば、カラダが変わる
腸が大切な理由とは?
メディアなどでも「腸を元気に」というテーマが多く取り上げられていますが、なぜ腸が大切なのかご存知ですか。各臓器はそれぞれ重要な働きがありますが、なかでも腸は食べたものの栄養を吸収して血液をつくるという働きと、一方で食べかすやウイルス、細菌など不必要なものを排泄する2つの重要な役割を担っています。そのため、腸の働きが悪くなると、栄養分の吸収力が弱まり、健康な血液が体内に行き届きにくくなってしまい新陳代謝が悪化。本来のサイクルが行われず、細胞がどんどん老化してしまうのです。
体に必要な栄養を取り込み、体に不必要なものを出す重要な役割を担っているのが腸。腸を元気にしておかないと、不調をきたすこともあります。
①腸内環境が悪くなるワケ
● 食べ過ぎ
● ストレス
● 肉食中心・野菜不足
善玉菌が劣勢に
日々の生活習慣によって悪玉菌が優勢な状態に
↓
②腸内環境の悪化が招く症状
● 便秘または下痢
● 肌荒れ・吹き出もの
● 口臭・体臭がきつくなる
↓
③さらに悪化が続くと
● 免疫力低下
● 気力低下
● 大腸の病気
● その他の内臓の病気
また、最近の研究では腸内環境の悪化が、免疫力の低下にもつながるという可能性が指摘されています。実は腸には体全体の約6〜7割の免疫細胞が集中しており、これらがウイルスや有害物質から体を守っています。例えば風邪をひいて、下痢になったという経験をお持ちの方も多いと思います。これはウイルスにより免疫細胞の働きが弱まったから。つまり腸を元気にすることは、免疫細胞を強く保ち、病気になりにくい体をつくるということでもあります。
腸内細菌の最適なバランス
善玉菌
腸を活性化し、免疫を高めたり便通を良くする。オリゴ糖や食物繊維が主食。
日和見菌
腸内細菌の状況を見極め有利な方の味方をする。善玉菌の仲間にすることが大切。
悪玉菌
腸の働きを悪くし便秘や下痢などを引き起こす。動物性脂肪が大好物。
腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌といった細菌が100兆個以上もいます。善玉菌優位のバランスがとられることで、腸は正常な働きをしますが、悪玉菌が増えすぎると腸内環境のバランスが崩れてしまいます。
善玉菌を増やす食生活を
では、腸を元気に保つにはどのようにすればよいのでしょう。腸内にはさまざまな細菌が住んでいますが、元気のない腸は悪玉菌優位であり、ストレスによってダメージを受けた腸は悪玉菌増殖に絶好の環境となってしまいます。腸を元気にするためには、悪玉菌の宿敵である善玉菌を優位にさせることが大切。肉も野菜もバランス良く食べるとともに、特に善玉菌の好物であるオリゴ糖や食物繊維を積極的に食べることが、腸内細菌のバランスを整える重要なポイントとなります。また、善玉菌が好むのは、腸内の毒素除去の働きを持つ酵素が蓄えられている環境です。
善玉菌が増えてしっかり働く!腸にうれしい食材はコレ
①善玉菌そのものを増やす発酵食品
善玉菌の代表格が乳酸菌やビフィズス菌。これらは発酵食品に多く含まれています。直接摂ることで善玉菌優位の腸内環境をつくりましょう。
善玉菌を多く含む発酵食品
ヨーグルト、納豆、漬け物類、牛乳、味噌、チーズ、キムチなど
②善玉菌のエサとなる食材
善玉菌が腸内で勢いづくには、善玉菌のエサを、たくさん食べること。善玉菌はオリゴ糖や食物繊維が大好き。反対に悪玉菌は肉類に含まれる動物性脂肪を好みます。
オリゴ糖を多く含む食品
バナナ、りんご、はちみつ、玉ネギ、キャベツ、大豆など
食物繊維を多く含む食品
干し柿、アボカド、ひじき、納豆、切り干し大根など
③善玉菌が住みやすい環境をつくる
善玉菌が住みやすい環境づくりの鍵となるのが酵素。もともと善玉菌は体内で酵素をつくっていますが、生産量が減ると、悪玉菌が優位な状態になってしまいます。
酵素を多く含む食品
酵素は、発酵食品や生野菜やフルーツに多く含まれますが、加熱によって壊れやすいのが特徴。サプリメントなどでの補給がおすすめです
監修:管理栄養士・博士(スポーツ健康科学) 新生 暁子先生
この記事を監修された先生

国立健康・栄養研究所の栄養教育プログラムで技術補助員として従事。2008年にはシドニーオリンピック女子マラソン金メダリストの高橋尚子率いるチームQに加入し、栄養管理を担当。現在はフリーランスの管理栄養士として活動。