Health
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季節の症状
2019.07.30
【特集】夏の暑さを上手に乗り切ろう!

熱中症とともに気をつけたい、夏バテへのケア。エアコンによる外気との温度差などが 主な原因ですが、実はそこにも活性酸素が関係していることをご存知でしたか?
体の疲労感は活性酸素が関係している?
この時期になると夏バテへの対処法が話題になりますが、今回はいつもと違う目線で夏バテの考え方を紹介したいと思います。
その考え方とは、夏の疲労は活性酸素による酸化ストレスを抑えることで軽減できるというもの。そもそも活性酸素はウイルスや細菌などをやっつける免疫役としても機能するものなのですが、過剰な活性酸素は酸化ストレスとなり、正常な細胞を攻撃する厄介者となってしまいます。何事もなく機能していた正常な細胞は活性酸素の酸化ストレスによって傷つけられることで、本来の機能が損なわれてしまいます。体が本来の調子と異なる…これが疲労の正体ですが、実はここには自律神経も深く関係しています。呼吸や血液循環、体温調節、消化吸収、肝臓での解毒など自分の意思とは関係なく生命を維持し続けていくのが自律神経の役割ですが、自律神経は多量に生じた活性酸素を除去するのも重要な仕事の一つ。酸化ストレスが多くなればなるほど、自律神経への負担が増し、そうなると自律神経が司る主な3つの仕事である免疫、代謝、ホルモンへの立ち回りが上手くいかなくなります。それが疲労の原因となるわけです。
体内に取り入れた酸素の約3%が活性酸素に
活性酸素とはどんなもの?
人が酸素を吸ったときに、取り込んだ酸素の約1〜3%が活性酸素となります。多くの外的要因によって活性酸素が増えすぎると、正常な細胞への攻撃が始まります。
全就労人口のうち約7割が疲労を感じている
疲労の原因は活性酸素!?
増え過ぎた活性酸素は、無差別に正常な細胞を攻撃して傷つけ、細胞の働きを低下させてしまいます。過剰な活性酸素はいわば毒! 自律神経はこの毒を除去するために大忙しとなり、体全体の機能にも影響が及び、疲労感が強まることに。
夏の寒暖差が体を疲れやすくする
夏に活性酸素が増えやすくなる要因の一つは、冷えた室内と猛暑の屋外の寒暖差を調整することが多くなり、自律神経が疲弊することで活性酸素の除去が追いつかなくなるため。また、紫外線の体への影響を数値化した指標を下記に示しましたが、夏は相対的に高くなります。紫外線は過剰な活性酸素を生み出すので、紫外線を大量に浴びないようにすることも、夏の疲労を軽減するのにつながります。
人間が本来持っている抗酸化酵素は年齢とともに減少していきます。活性酸素による酸化ストレスを抗酸化酵素で対処することができなくなると、疲労が起こりやすくなりますので、40歳を過ぎて抗酸化酵素が減少してきたら、外から抗酸化成分を上手に取り入れることが夏バテ対策のひとつと言えるでしょう。
UVインデックスは7月がピーク!
夏は活性酸素が発生しやすい
紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを示すUVインデックスは7月が最も高いことがわかっており、紫外線の影響による活性酸素の発生を誘発。室内と屋外の寒暖差が激しいことなども自律神経系へダメージを与え、活性酸素の除去が追いつかなくなります。
40歳代から錆びを取る力はダウン
加齢とともに抗酸化力は低下
体内には活性酸素を除去する、抗酸化酵素が備わっていますが、年齢とともに減少することがわかっています。老化を感じるだけではなく、病気などにもかかりやすくなります。
では夏の暑さを乗り切るには、どんな成分が必要なのでしょうか?
夏に負けない活性酸素と戦う!オススメの抗酸化成分
アントシアニン

ポリフェノールの一種で、ベリー系の果実に多く含まれる天然色素成分。太陽の光を受けて育つ果実は紫外線による酸化ストレスから果実を守るために紫色に色づき、高い抗酸化力を宿しています。また、アントシアニンは目に良い成分として知られていますが、これは網膜の奥で目に映った映像をつくりだす「ロドプシン」の合成をサポートするためと言われています。これらは眼精疲労の改善に役立つとされています。
ビタミンE

ビタミンEは、細胞や筋肉が活性酸素によってダメージを受け、肉体疲労が起こらないようにケアする役割があります。高い抗酸化力で増えすぎた活性酸素を消去する作用はもちろん、血管の収縮を促進して血行を良くするため、体のすみずみにまで酸素を運び、効率的なエネルギー補給をサポートします。さらには、疲労物質もスムーズに排出されるため、疲労回復も早まることがわかっています。
アスタキサンチン

非常に強い抗酸化力を持つカロテノイド系の色素成分として注目を集めているのがアスタキサンチンです。抗酸化作用は2つあり、活性化した酸素を元の状態に戻す(消去する)こと。そしてもうひとつは中性脂肪などの脂質が活性酸素によって過酸化脂質になるのを防ぐこと。体が酸化ストレスにさらされるのを効果的に防ぐことで疲労を遠ざけ、さらには生活習慣病などの疾患の予防にもつなげます。
アリシン

にんにく特有成分がにおいの元となるアリシンです。アリシンは切ったり、すりおろしたりして、生のにんにくに含まれるアリインが空気に触れることで変化する物質。活性酸素を消去する抗酸化作用はもちろん、スタミナアップに欠かせない成分としても知られています。また、疲労回復にも効くのが特徴ですが、これはアリシンがビタミン B1と結合して、アリチアミンという吸収性・持続性の良い物質になるため。また加熱するとスコルジニンという物質が生まれ新陳代謝を活発にしてくれます。
監修:銀座よしえクリニック都立大院院長・日本抗加齢医学会専門医 青木晃先生
この記事を監修された先生

抗加齢医学専門内科医。日本健康医療学会常任理事。日本抗加齢医学会評議員。日本健康医療学会健康医療認定医。日本抗加齢医学会専門医。メディアでのわかりやすい解説に定評がある。