Health

2023.08.01

【特集】脱水が引き起こす脳梗塞


 
エアコンの効いた室内にいることが多くても、夏は汗を大量にかいています。しかも、快適であるだけに水分摂取を忘れがちで、知らず知らずのうちに脱水状態に陥っていることも。そんなとき体の中では、じわじわと脳梗塞の兆しが現れているかもしれません。高齢者は特に気をつけたい、夏の脱水と脳梗塞との関係とは!?
 

食生活の欧米化で増えている!?「首の動脈硬化」

心臓と頭部をつなぐ頸動脈は、首で脳へと向かう内頸動脈と、顔や頭皮へと向かう外頸動脈とに枝分かれしています。この枝分かれ部分は血流が渦を巻くため、コレステロールの沈着や血栓ができやすいと言われています。この部位が動脈硬化を起こした状態を「頸動脈狭窄症」といい、食生活の欧米化による高脂血症や高血圧症の増加に伴い、頸動脈狭窄症も増加傾向にあります。ろれつが回らない、手足のしびれなどの症状が出たら、頸動脈狭窄症のサインかも。脳神経内科などを受診することをおすすめします。

 
 

脱水と体内の熱放射で夏は血液がドロドロに…!?

 気候温暖化が進む昨今、日本各地で猛暑日が観測されることは、もはや珍しくありません。そんな夏の健康で、気をつけたいことの一つが脱水です。エアコンを使っていても、夏場は大量の汗をかくため、体内の水分が不足しがち。脱水症になると、肌がカサカサしたり、頭痛や吐き気が起きたりするほか、ひどくなると意識を失ったり痙攣が起こったりもします。
 さらに、脱水症は脳梗塞のリスクも高めます。脳の血管が詰まる脳梗塞には、「ラクナ梗塞※」「アテローム血栓性脳梗塞※」「心原性脳塞栓症」の3種類に大きく分けられますが、このうちラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は、主に生活習慣病からくる動脈硬化により引き起こされるもの。夏場に多く発症し、脱水症との因果関係が比較的強いと考えられています。すなわち、脱水になると血液が一時的にドロドロになるうえ、夏は体内にこもった熱を放射するため血管が拡張しがちなことから、血流も遅くなります。ドロドロの血液がゆっくり流れるようになることで、血管が詰まりやすくなるのです。なお、心原性脳塞栓症は、心臓などでできた血栓が脳に移動した後に血管を詰まらせる病気。ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞とは違い、不整脈が主な原因で起こると考えられていますが、実は、こちらも脱水が発症に関係しているという研究報告もあります。

今月の注目ワード

●ラクナ梗塞
動脈硬化により脳の細い血管が詰まり、その先の神経細胞にダメージを与えます。脱力、しびれ、話にくさなどの症状が現れますが、意識障害には至りません。状態が軽いと自覚症状がないことも。
 
●アテローム血栓性梗塞
動脈内壁にできたアテローム(粉瘤)で血管が狭くなり、そこに血栓が詰まって血流を妨げる病気。太い血管で起きることから重症化しやすく、手足の脱力やしびれなどの前兆があることも。

 
 
 

「脳梗塞は冬の病気」と思われがちですが、国立循環器病研究センターの脳血管内科などにより編集された「脳卒中データバンク2021」によると、実は夏に一番多く発症しています。また、要介護認定で最も重い要介護5(介護がなければ日常生活を営めない状態)となった原因の第1位は「脳血管疾患(脳卒中)」で、その多くが脳梗塞だというデータもあります。夏の脳梗塞は、QOL(生活の質)を大きく低下するきっかけにもなりかねません。
 

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左:脳卒中データバンク2021 右:2019年 国民生活基礎調査

 
 
 

水分摂取は1日8回が目安暑くても常温か温かいものを

 脱水からくる夏の脳梗塞を予防するポイントは、第一に適切な水分摂取をすること。加齢とともに喉の渇きを感じにくくなったり、トイレが近くなるからと必要以上に我慢しがちですが、意識的に水分を摂るようにしましょう。理想は、①起床時、②朝食時、③10時頃、④昼食時、⑤15時頃、⑥夕食時、⑦入浴後、⑧就寝時の1日8回、1回にコップ1杯程度が目安です。冷たいものは体を冷やすので、常温か温かいものを。
 さらに、日常生活の中で脳梗塞のリスクを下げることも大切です。栄養バランスがよく塩分やトランス脂肪酸※の少ない食事、適度な運動習慣、過度な飲酒をしない、喫煙を控える、などです。夏は食が細くなるので、動脈硬化を予防するDHA・EPA、脳の健康をサポートするイチョウ葉エキス、運動習慣をサポートするグルコサミンなどのサプリメントを上手に活用するのも良いでしょう。

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今月の注目ワード

●トランス脂肪酸
マーガリンやショートニングに代表される不飽和脂肪酸の一種。植物油などに水素を添加した人工トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やして動脈硬化のリスクを高めると考えられています。

 
監修:
順天堂大学医学部附属浦安病院
脳神経内科 先任准教授

山城 一雄先生

この記事を監修された先生

山城 一雄やましろ かずお

弘前大学医学部卒業後、順天堂大学医学部脳神経内科入局。日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本認知症学会専門医、日本内科学会総合内科専門医。

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