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2022.11.22
【特集】栄養補給と排尿ケアで体の冬じたく
「年齢とともに、寒さがこたえるようになってきた」と感じることはありませんか?「老化+寒さ」は、思った以上に心身を消耗させているかもしれません。これからの季節の健康ケアで、特に気をつけたいのがオーラルフレイルと排尿トラブル。早め早めの冬じたくで、寒さに負けないカラダをつくりましょう!

□ 食事の時間が長くなった
□ 外食がおっくうになった
□ 硬いものが食べにくい
□ 食べ物が飲み込みづらい
□ 食べ物が口の中に残ることがある
□ 食べこぼすことが増えた
□ お茶や汁物でむせやすくなった
□ 薬が飲みにくくなった
□ 口の中が乾きやすい
□ 滑舌が悪くなった
脱水症や認知症にもつながるオーラルフレイル
加齢による筋力低下は、手足だけのことではありません。普段はあまり意識しない「噛む力」や「飲み込む力」も年齢とともに衰えていきます。今まで好きだったお煎餅やかりんとうなどの硬いものを避けるようになったり、急いで食べているわけでもないのに食べこぼしたりするようになったら、オーラルフレイル※(加齢による口腔機能の衰え)のサインかもしれません。
オーラルフレイルで最も心配なのは、食事を摂りづらくなったことによる栄養不足や栄養の偏り。ある研究によると、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足がちになり、逆に、炭水化物や塩分が増えるそうです。栄養状態は心身の健康に直結しますが、中でも冬に低栄養状態が続くと、手足の冷えや脱水を起こしやすくなるほか、免疫力低下による感染症リスクも高まります。また、寒くなると部屋にこもりがちになって脳への刺激も少なくなりますが、これに低栄養が加わると、認知力の低下にもつながりかねません。
本格的な冬を前に、いつも以上に栄養状態には気を配りたいものですが、だからといって食事の量を無理して増やすのは、胃腸に余計な負担をかけて逆効果になることも。そこでおすすめしたいのが、おやつです。甘いお菓子類は控えめにして、バナナ、ミカン、キウイなどの果物や、ヨーグルト、チーズなどの乳製品を意識して摂りましょう。飲み物だったら、豆乳やココアがおすすめです。また、各種の健康食品やサプリメントも、自分に不足しがちな栄養素を選んで効率的に摂れるので、積極的に活用するといいでしょう。
今月の注目ワード
●オーラルフレイル
加齢により「噛む」「飲む」「話す」といった口の機能が低下した状態のこと。低栄養や誤嚥性肺炎のリスクであるだけでなく、コミュニケーションが取りにくくなるため認知症の原因にもなります。
著しいQOLの低下を招く排尿トラブル
加齢に伴うもうひとつの冬のお悩みといえば、排尿トラブル。40歳を過ぎたころから、頻尿や尿漏れ、尿失禁といった不調を抱える方が増えてきます。排尿トラブルには、膀胱が過敏になって突発的にトイレへ行きたくなる過活動膀胱や、睡眠中に何度も尿意で起きてしまう夜間頻尿、排尿の終わりがすっきりしない残尿感などがあります。
こうした排尿トラブルの原因はさまざまですが、通常の老化現象の場合、もっとも大きな原因は自律神経系の衰えです。膀胱や尿道の筋肉は、交感神経優位になると膀胱に尿を溜め、副交感神経が優位になると排尿します。老化で自律神経の働きが衰えると、膀胱に少ししか尿がなくても尿意を感じたり、トイレまで我慢できずに尿失禁を起こしたりするのです。
なお、50~60代の女性の中には、くしゃみをしたときに尿が漏れるというお悩みを持つ方が少なくありません。これは、妊娠や出産、子宮筋腫などがきっかけとなる腹圧性尿失禁※で、骨盤底筋群※を鍛えることで改善するといわれています。また、男性は前立腺肥大が影響して排尿トラブルを起こすこともあります。
排尿トラブル自体は、命にかかわるものではありませんが、外出もままならなくなったり、睡眠不足になったりするなどQOLが著しく低下します。でも、「年齢だから…」と諦めるのは早計です。
近年は、高性能の尿取りパッドや骨盤底筋群を鍛えるグッズ、トイレのお悩みに働きかけるサプリメントなど、さまざまな予防・改善商品が出ています。適切に使ってQOLを高め、トイレの不安のない快適な日常を謳歌しましょう!
今月の注目ワード
●腹圧性尿失禁
咳やくしゃみ、重いものを持つなどでお腹に力を入れたときに尿が漏れる症状。女性に多く、妊娠や子宮筋腫で子宮が膀胱を圧迫したり、出産で骨盤底筋群の組織を劣化させたことが主な原因。
●骨盤底筋群
恥骨、尾骨、座骨につながり骨盤の底部をハンモックのように覆う筋肉群の総称。膀胱、子宮、直腸などを支えているほか、尿道口や肛門を絞めたり緩めたりして排泄をコントロールします。
ここをチェック!夜間頻尿の年齢・性別頻度
夜間頻尿は睡眠の質を低下させるだけでなく、十分に覚醒していない状態で歩くため、転倒リスクが高まることでも問題視されています。グラフは、一晩に3回以上トイレに立つ人の割合を示しています。40代では男女とも5%ほどですが、80歳以上では男性の半数以上、女性は約40%が該当すると答えています。

出典:日本排尿機能学会による2003年の調査より
監修:医療法人社団 愛育会 理事長
竹川 勝治先生