Health
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健康学Q&A
栄養学
2018.11.20
健康学Q&A NO.9 DHAとEPAの違いを教えてください!
体の健康をキープするために、今からどんなことに取り組んでおけばいい?
皆様から多く寄せられる質問に対し、矢澤先生がQ&A方式で分かりやすく解説します。
血流を良くするということは、健康において重要なことなのはご存知だと思います。青魚に含まれるDHA・EPAは、いわゆる血液サラサラの代表的な成分。現代人に不足していると言われるオメガ3系の不飽和脂肪酸という脂の一種です。この2つの成分は血液の流れをスムーズにするという点では同じですが、働きかけ方が異なります。
DHAは主に血管と赤血球を柔軟にし、血液が円滑に流れるようにサポートします。またEPAも赤血球を柔らかくし、血小板の凝集を抑え血栓をできにくくする働きがあることが分かっています。生活習慣病の多くは、血液の流れが悪くなって起こるものですので、普段からDHA・EPA(つまりは青魚)を積極的に食べることが、健康維持につながると言うことができます。
「さかなを食べ〜ると〜 あたま〜がよくなる〜♪」という有名な歌がありましたが、それは本人の努力によるところもありますので、なんとも言えません(笑)。しかし、なぜ、そういったキャンペーンが行われたかというのは、青魚に含まれるDHAの働きが関係しています。
DHAは血管に働きかけ、EPAは血液サラサラ効果があると言いましたが、DHAはEPAにはない「もうひとつの特徴」があります。それが、血液脳関門という関所を通過できるということです。脳を構成するおよそ6割が脂質で、全体の脂質のうちおよそ25%をDHAが占めています。つまり、それだけ脳にとって大切な脂ということが言えます。DHAは脳細胞や情報伝達機能をスムーズにすることが研究で分かっており、認知機能の向上にも期待ができるという研究結果も報告されています。つまりDHAは、子どもにおいては脳の発達段階で摂ると学習機能の向上、シニアにおいては脳機能の維持という目的で役立てることができます。
たとえば、ハマチについて見てみましょう。ハマチの養殖方法は餌に魚を与えていることが多いんですね。時期にもよるかもしれませんが、DHA・EPAの含有率は天然物と同等、もしくは多い場合もあります。
しかし、しっかりと脂の乗った魚を育てるために高カロリーな餌を与え続けるとどうなるか…。結果、ブクブクと太って脂身の多い魚になってしまいます。この場合は、DHAやEPAといった不飽和脂肪酸ではなく、生活習慣病につながりやすい飽和脂肪酸が多い魚になってしまいます。ちなみに、マグロで言えばDHA・EPAは大トロよりも、中トロに多く含まれていますので、コレステロールが高めの方は食べる際に意識するといいですよ。
また、天然の魚は時期もあります。鰹や秋刀魚など、秋口に下ってくる魚は脂が非常に乗っています。おいしいと言われる「旬の時期」に食べるのが一番いいですね。
この記事を監修された先生

早稲田大学規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長。長年、企業や大学の研究機関で食の安全や健康食品の研究に従事。食べ物がいかに体に作用するかを分かりやすく解説。