Interview
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インタビュー
2018.06.19
FUN LIFE Vol.41 歌手 秋元順子さん
歌手
秋元順子さん
JUNKO AKIMOTO
1947年生まれ。東京都出身。2005年にメジャーデビュー。ハワイアンバンドでキャリアをスタート。ジャズ、シャンソン、歌謡曲ほか幅広いレパートリーを持つ。3枚目のシングル「愛のままで…」が大ヒットし、2008年の「NHK紅白歌合戦」に初出場。61歳6ヶ月での初出場は歴代最高齢。2009年1月26日には「オリコン」ランキング総合1位を獲得。“団塊世代の星”と評される。
先生からの「いい声ね」の一言で人生が変わった
小さい頃はこのハスキーボイスがコンプレックスでした。私が生まれたとき、泣き声を聞いた母が「男の子だわ」と思ったほどのガラガラ声だったそう(笑)。友達から「男の子みたいね」ってはやし立てられたこともありました。転機が訪れたのは小学4年生のとき。先生に「今日は順子ちゃん、前に出て歌ってちょうだい」と言われたんです。もちろん戸惑いましたよ。でも民謡好きの母の影響で、私も歌うことが大好きだったものですから、思い切って『月の沙漠』を歌ったところ、クラス全員が拍手をしてくれて、先生からは「いい声ね」と褒めていただけたのです。
この出来事をきっかけに私は音楽クラブに入部。そこから中学、高校とずっと活動を続け、こども音楽コンクールに出場したり、みんなでオペレッタを作り上げたり、全力で音楽を楽しみながら学生生活を送りました。高校卒業後も、音大で好きな音楽をもっと勉強したいと考えていたのですが、人生とはままならないもの。家庭の事情で進学はあきらめて働くことになったのです。
逆境なんてなんのその。歌い続けられればそれでいい
進学をあきらめるなんて18歳の少女にとっては大事件ですよ。さぞかし落ち込んだと思うでしょう? でも私は違いました。というのも私、昔から人に自慢できるほど切り替えが早いんです(笑)。就職した会社にハワイアン同好会があり、見学に行きその場で入会。仕事と音楽を楽しむことにしました。ハワイアンバンドでは創立記念パーティーといった会社のイベントはもちろんのこと、ライブハウスやビアガーデンでも歌いました。
24歳のときに寿退社し、夫の実家の花屋を手伝いながら、2人の子育てに専念する時期が約12年続きました。でも台風でお店を閉めた日なんかは、「今がチャンス!」とばかりに、シャッターを下ろした店内で歌っていましたけれど(笑)。そして子育てがひと段落した頃、バンド仲間から食事に誘われ、「もう一度、メンバーに参加してほしい」と言われたんです。場所がライブハウスだったこともあり、気づいたら私、生バンドの真ん中で『南国の夜』を歌っていました(笑)。少し悩みましたが、お客様の喜ぶ顔を見ちゃうと、やっぱりダメね。その場で家族に電話して了解を得て、「参加します」と返事をしました。食事の場所にライブハウスを選んだってことは、仲間はきっと分かっていたのでしょうネ。参加してくれることを。
思い立ったが吉日。挑戦に遅すぎることはない
2005年にメジャーデビューして、「愛のままで…」がヒットして、NHK紅白歌合戦にも出場させていただきました。よく「人生が激変しましたね」なんて言われるのですが、私自身は何も変わっていません。もちろんプロとして、“代わりがいない”という責任感は強くなりましたが、歌に対する姿勢は会社に勤めていた頃のまま。
私、下積みって言葉が嫌いで、デビューするまでの日々を下積みだなんて思ったことがありません。58歳でデビュー、61歳で紅白初出場ですから世間的には“遅咲き”なんて言われてしまいますが、遅いものですか。私にはそれがちょうどいいタイミングだったのです。よく言うんですよ、「私の旬は50代だった」って。だって旬なんて自分の想いひとつで決まるもの。遅すぎるなんてことはありません。ほら、今やってみたいことが頭に浮かんできたでしょう(笑)。思い立ったが吉日! すぐに行動に移してくださいね。
愛のままで…
言わずと知れた秋元さんの代表曲。愛をテーマにした曲のため、全国のご夫婦やカップルから大きな反響を得たと言います。なかには「この曲のおかげで離婚せずに済みました」というメッセージもあったのだとか。
NHK紅白歌合戦
紅白では「これまで応援してくれた方へ感謝の気持ちを込めて歌った」と秋元さん。お嬢さまからの手紙のサプライズには思わずウルッと来たそうですが、マイクに到着するまでにしっかり心を整えたと話します。
秋元さんといえばダジャレ好きで有名。インタビュー中もダジャレの連発で、笑いが絶えませんでした。ダジャレは落語好きだったお父様の影響とのこと。小さい頃、お父様を笑わせるとお小遣いがアップしたそう。
健康法は続けられることが大事「緩いルール」のススメ
ただ年齢を重ねてから新しいことにチャレンジするなら、やっぱり健康は維持しておきたいところ。私は食事も運動も“適当に”気をつけるようにしています。お風呂上がりにストレッチをするけれど、たったの5分間。なるべく歩くようにしているけれど、気が向いたときだけ。なんでも好きに食べるけれど、栄養バランスは考える。お酒は飲むけれど、サプリメントも飲む。長く続けるためには、これくらいの緩いルールがオススメです。
私が目指すのは、ナット・キング・コールのような、同じ歌を何度聞いても飽きがこない歌手。一人でも多くの人にそう感じていただけるよう、これからも歌い続けたいと思います。
「遅咲き」なんて言った人が驚くくらい、さらに大きな花を咲かせるつもり。ひょっとすると「私の旬は50代じゃなくて60代だったのね!」「いや、70代だったのね!」「いやいや80代…」と、どんどん更新されていくかもしれませんね(笑)。
なるべく歩く
「いい天気のときだけ歩く。しかも5000歩以内で、1時間まで」。これが秋元さんのウォーキングルール。たしかにこれならストレスなく続けられそうです。秋元さんはこの習慣を「気まぐれ散歩」と呼んでいます。
サプリメント
栄養補助食品にかなりくわしい秋元さん。元気で過ごすためには「ビタミンA・C・E」と「タンパク質」がとくに重要だと教えてくれました。ただし「サプリはあくまで補助。バランス良く食べることが基本」とのこと。
タンブラー
焼き物は400年の歴史を持つ小松原焼窯元が、秋元さんのために作ったタンブラー。十五代目の朴平意氏がファンであったことから生まれました。「リラックスタイムに欠かせない」と秋元さん。
<Information>
秋元順子~コウトウ・ラブ・ストーリー~ 6月21日(木)に「ティアラこうとう」にてバースデーコンサートを開催。「愛のままで…」や新曲はもちろん、さまざまなジャンルの曲が楽しめます。
■お問い合わせ ティアラこうとう TEL:03-5624-3333/ザ・カンパニー TEL:03-3479-2245