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2016.11.24
特集:気をつけたい肺の病気
肺の役割は?
肺は生命活動を続けるために不可欠な呼吸を支えている器官です。二個で一対の構造を持つ肺は、人間の胸部の大部分を占めており、肝臓や脳に次ぐ大きさの器官です。
肺の主な機能は、心臓から運ばれてくる静脈血の中の二酸化炭素を酸素と交換することです。血液によって全身に送られた酸素は細胞内でエネルギーを作るために利用され、二酸化炭素となって再び肺に戻されます。
また、肺は空気中に浮遊する細菌やウイルスを防ぐ役割も担っています。細菌やウイルスは気管の内側にある線毛によって、口腔や食道へと送られて胃液で不活化されます。線毛を突破して肺に侵入した細菌やウイルスは、肺の中で免疫細胞によって食べられ、体内へ異物の侵入を防いでいます。
肺の働きは生命維持にとってたいへん重要なのですが、病気や加齢、タバコなどの生活習慣によって、その機能が衰えてしまいます。肺機能が低下すると、十分な酸素を取り込めなくなり、呼吸も浅く早くなるなど、日常生活にもいろいろな影響を及ぼします。
肺機能を低下させる病気には、風邪、インフルエンザ、気管支喘息、肺炎、肺がん、肺気腫などさまざまありますが、ここでは高齢者の大敵と言われる肺炎について見てみましょう。
風邪に似た症状から肺炎が始まります
●症状
肺炎とは感染症によって肺に炎症が起きた状態です。喉の痛みや鼻水、鼻づまり、咳、頭痛といった風邪に似た症状から始まります。やがて高熱が続き、激しい咳、痰、呼吸困難や胸の痛み、顔面紅潮、チアノーゼ(唇や爪が青黒くなる)などの強い症状が現れ、これらの症状が数日間続きます。しかし高齢者の場合には肺炎にかかっても、しばらくは激しい症状が出ないことが多く、気づいたときには重症化しているケースもあるため注意が必要です。
●原因
肺炎の原因は、ウイルスや細菌への感染、カビや微生物、アレルギーなどさまざまです。その他、高齢者に多いのが誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎は、唾液や食物が誤って気道に入ることで肺炎を引き起こします。
健康な人は病原体に負けない免疫機能を備えているので、病原体を排除することができます。しかし風邪などで喉に炎症があると、普段は痰と一緒に出てしまうような病原体が肺胞にまで達し、肺炎を引き起こします。
高齢者の場合、加齢とともに免疫力が低下しているため、ちょっとした風邪でも肺炎に進行することがあります。高齢者の肺炎による高い死亡率には、免疫力の低下が関わっているのです。
また、糖尿病、心臓病、脳血管障害、腎臓病、肝臓病などの慢性疾患を抱えている人も免疫力が低下しているため、重症化する場合があるので注意が必要です。
●こんな症状に注意
初期の肺炎は風邪と見分けがつきません。こんな症状が治まらないときは肺炎の疑いがありますので、医師の診断が必要です。
- 風邪が長引いている
- すぐに息が切れる
- 呼吸や脈拍の回数が多い
- 息苦しくて眠れない
- 高熱(38度以上)が続く
- 痰が止まらない
- 激しく咳込む
- 痰が黄色や緑色の膿状
- 咳をすると胸が痛い
- 食欲が出ない
免疫力を維持
肺炎を防ぐには、免疫力を維持しながら健康的に暮らすことが最も大切です。そのためには日常生活を見直して、肺炎の病原体に感染しないような生活習慣を身につけるとよいでしょう。
免疫力を高める生活習慣は、栄養バランスのよい食事を摂ることが基本です。そして適度な運動を続けることで体力を維持しましょう。また、十分な睡眠をとって、しっかり疲れをとりましょう。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かってリラックスすることも効果的です。
肺炎の原因となるインフルエンザや風邪にかからぬよう、外から帰ったら手洗いやうがいを習慣化しましょう。室内では換気をよくしてウイルスや細菌を追い出し、空気を清潔に保つことも大切です。また、歯磨きも肺炎の予防につながります。歯、歯茎、舌を磨くことで口の中をいつも清潔に保ちましょう。言うまでもありませんが、肺炎を防ぐためにも禁煙しましょう。
肺炎を防ぐ10か条
- 栄養バランスのよい食事
- 十分な睡眠で体力を回復
- 日光浴や散歩など適度に運動
- 風邪やインフルエンザにかからないよう注意
- うがい、手洗いを習慣化
- 適度にストレスを発散
- ぬるめのお湯にゆっくり浸かってリラックス
- 歯磨きで口中を清潔に保つ
- 肺炎球菌やインフルエンザのワクチン接種
- 禁煙する