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2016.11.24
特集:関節痛―からだの節々の痛み―
なぜ関節が痛むのでしょうか?
中高年の多くの方がひざ、腰、肩、股関節、手、足などの「関節」でお悩みです。なぜ歳を重ねると関節が痛むのでしょう。
関節とは骨と骨をつなぐ部分で、滑らかな軟骨で覆われていて衝撃を和らげています。ところが加齢によって軟骨がすり減ってしまいます。その結果、直接骨どうしがこすれあったり、軟骨の下にある骨に変形が生じ、関節周辺に炎症が起こり、痛みが生じます。
また、筋力の衰えも関節痛の原因です。とくに体重のかかるひざ関節は、脚の筋肉によって支えられているため、筋力が衰えてしまうと支えることが難しくなってしまいます。
現在70歳代以上の約半数が、ひざ関節に何らかの障害を抱えていると言われています。
関節痛の原因は加齢だけでなく、外傷や慢性関節リウマチ、通風などの病気、細菌感染などによっても起こります。部位によって原因も様々ですので、痛みを感じたら、まず医師の診断を受けて、原因を特定することが大切です。
最も多い「変形性ひざ関節症」
中高年で最も多いのが「変形性ひざ関節症」です。ひざ関節はあらゆる動作で全体重を受け止めています。ひざの軟骨はその衝撃を受け止め、骨と骨が直接こすれあわないようにクッションの役割をはたしています。また、軟骨は関節をスムーズに動かす潤滑油の働きをしています。しかし加齢によって代謝が悪くなると栄養が行き渡らず水分や弾力がなくなってしまい、ひざ関節の軟骨がすり減ってきます。
軟骨の摩耗が進むと、表面がデコボコになったり、一部が欠けたりします。すると、骨どうしが直接こすれあい、軟骨のすぐ下の骨に異常が生じたり、炎症が起きたりします。そのため動いたときに痛みや違和感を感じるようになるのです。
軟骨に必要な栄養は血液で運ばれ、関節液を通して行き渡ります。血行が悪くなると十分な栄養が運ばれず、軟骨の補修が適切に行なわれなくなります。
ひざ関節の軟骨は加齢とともにすり減っていくので、ひざ痛も段階的に進行していきます。ひざ関節のトラブルは、体重がかかったときに痛む「動作時痛」、曲げ伸ばしのときに痛む「稼働域制限」、関節液が溜まる「関節水腫」の3つが主な症状です。初期には痛みを感じないことがほとんどですが、ひざには常に圧力がかかるため、軟骨は少しづつすり減っていき、症状が進行していきます。朝起きたときなどの動き始めにこわばりや違和感を感じる程度で、ほとんど自覚症状はありません。しばらく関節を動かしていると違和感は治まってきます。初期の痛みなら、休んでいると和らいできます。しかし、これは軟骨が磨耗してきている兆候なのです。
軟骨の磨耗が進むと、骨と骨の隙間が狭くなります。人によっては関節が変形して、ひざがまっすぐ伸びなくなってしまいます。徐々にこわばりが治まりにくくなり、はっきりとした痛みを感じるようになります。さらに炎症が起きたり、腫れて熱をもつなどの症状が現れます。すると炎症を抑えようと、関節液が過度に分泌され、いわゆる「水が溜まる」ようになってしまいます。
軟骨が完全に磨耗してしまうと、骨と骨が直接こすれあってしまい、脚の変形と痛みで普段の生活にも支障が出てしまいます。
痛みを感じるようになったら、症状が進んでいる場合もありますので、早めに医師に相談し、痛みや症状にあった治療をすることが大切です。
あなたは関節病予備軍?
関節が痛むと、行動範囲が狭くなり、日常生活にも支障をきたすようになります。とくに膝や腰の痛みのため運動量が減ってしまい、肥満、高血圧症、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病を引き起こすことにもなりかねません。関節が十分働かないと、転倒や骨折など思わぬ事故にもつながります。
とくに肥満気味の人、高齢者、女性は関節痛になりやすい予備軍であることが分かっています。体重増加は関節にとって大きな負担になります。体重を1kg減らすだけで、動いたとき関節にかかる負荷が3?5kg減ります。高齢者は関節を支えている筋力が弱いため、関節が安定せず磨耗しやすくなっています。女性は男性に比べて関節の面積が小さいので、一定面積あたりの関節にかかる荷重が大きいことが一因だと考えられています。他にもO脚の人や長年スポーツを続けてきた人などに、関節痛が多く現れるようです。
関節をいたわるには?
関節痛は軟骨の磨耗が主な原因です。これを予防・改善するには、骨と軟骨を丈夫に保つための原料を摂取することが大切です。日常の食事だけでは十分に摂取・吸収することができないので、栄養補助食品などで補いましょう。
また、サポーターで固定することで、関節にかかる負担を軽減したりするのに役立ちます。たいていのサポーターは保温効果もあるので、関節を温めることによって血行が促進され、楽になることも多いです。これらを上手に利用するといいでしょう。