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栄養学
2016.11.24
【Tips】骨を強くするコツ
高齢者にとって命とりになることもある骨折。骨折を防ぎ、骨粗鬆症にならないために、骨の健康に役立つ栄養の摂り方などをご説明します。
丈夫な骨のためには、まずカルシウムの摂取
骨は、コラーゲンを基礎材料にカルシウム、マグネシウム、リン、ナトリウムなどのミネラルが付着して形成されています。
中でも丈夫な骨や歯をつくるのに欠かせない栄養素はカルシウム。体に最も多く含まれているミネラルであり、成人体重の1.5~2.0%がカルシウムです。このカルシウムが不足すると、骨がもろくなり骨折しやすくなります。また、足がつったり、まぶたが痙攣したり、イライラし怒りっぽくなったりすることもあります。
日本人のカルシウム摂取量は、必要最低限といわれる一日600㎎を満たしておらず、不足しがちな栄養素です。骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きをしているエストロゲン(卵胞ホルモン)が減少する更年期以降の女性や高齢者は、カルシウムを積極的に摂取し、骨へのカルシウムの吸収を高める栄養補給が大切です。
カルシウムが多く含まれている食品には、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、イワシなど小魚、ヒジキ、大豆類、小松菜、ブロッコリーなどがありますが、サプリメントを活用するのもよいでしょう。
マグネシウム、ビタミンDなどもお忘れなく
カルシウムと、骨に含まれる栄養素との摂取バランスも大切です。マグネシウムは体内でカルシウムと一定のバランス(マグネシウム一対カルシウム2~3が理想とされる)を保っています。マグネシウムは成人の体内に約30gあり、うち約半分は骨や歯に含まれ、半分は筋肉や脳・神経などに含まれています。マグネシウムは汗や尿で排泄されやすく不足しがちです。高齢者や酒量の多い方はカルシウムと一緒にマグネシウムの補給も忘れないようにしましょう。マグネシウムは、玄米、黒パン、ナッツ類、黒砂糖、海藻などに含まれています。
ビタミンDも骨にとって大切な栄養素です。ビタミンDはカルシウムの体内への吸収を助けるとともに、カルシウムの代謝に関わっています。体内のカルシウム量を一定に保つ働きや、歯のエナメル質を保護するなどの役割も持っています。
ビタミンDは、日光にあたらない人に「くる病」が多かったことから発見されたビタミンです。ビタミンDは、サケ、イワシの丸干し、干ししいたけ、キクラゲなどに含まれています。また日光の刺激により皮下でもつくられるので、食事からの摂取と日光浴で蓄えを増やしましょう。
ビタミンKも骨へのカルシウムの沈着や固定を促して骨を丈夫にする働きをしています。骨粗鬆症の治療薬にも利用されており、骨が弱くなっている高齢者には大切なビタミンです。ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、海藻、納豆やチーズなど発酵食品に含まれています。
骨にとって大切なタンパク質であるコラーゲンも忘れることはできません。体のタンパク質の30%を占めるコラーゲンは、血管や骨、皮膚などの形成に関わっています。関節の軟骨部の動きをスムーズにする働きとともに、カルシウムが骨に定着するのを助ける役割もあります。コラーゲンは、フカヒレ、魚の頭やウナギ、鶏の手羽先、豚足などに多く含まれていますから、煮こごりなどで食べると摂取しやすいでしょう。それでも食事だけでは十分には摂りきれません。サプリメントを活用するとよいでしょう。
コラーゲンはビタミンCや鉄分と一緒に摂ることで吸収率が高くなるといわれています。また関節を保護する働きがあるといわれるグルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸、大豆イソフラボンなどのサプリメントも併せて摂取すると、より効果が期待できます。ビタミンCはコラーゲンの生成に関わっており、ビタミンCが不足してコラーゲンの生成能力が落ちると関節が痛んだり、骨折を起こしやすくなるなどの症状が出てきます。ビタミンCは身近な果物やキャベツなどの野菜に含まれています。水溶性なので一度に摂っても排泄されてしまうため、毎日の食事に摂り入れたいものです。
栄養だけでなく日光浴や適度な運動も必要です
骨を丈夫に保つには適度な運動も大切です。散歩や全身をゆっくり動かす太極拳などじっくり負荷をかける運動も骨を強くする効果があります。また、転倒を防ぐためにアキレス腱を伸ばす運動なども大切です。
運動と日光浴、バランスの取れた食生活で骨の健康を保ちましょう。