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アンチエイジング

アンチエイジングの方程式

2017.11.21

口腔ケアでアンチエイジング

口腔ケアで健康長寿を全うするために
8020運動を知っていますか?

 

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アンチエイジング医学の臨床では、6つの基本的な戦略があります。

1.酸化・糖化を避ける
2.アンチエイジングホルモンを枯らさない
3.メタボ(メタボリックシンドローム)にならない
4.免疫力を維持する
5.ロコモ(ロコモティブシンドローム)にならない
6.口腔を健全に保つ

1〜4までは内科の領域ですが、5と6はそれぞれ、整形外科、歯科の分野の話になります。ロコモティブシンドロームとは、骨や筋肉、関節などの運動器の障害のために歩く機能の低下をきたした状態のことをいいます。ロコモが進行すると要介護となるリスクが高くなり、寝たきりや認知症につながり健康長寿を著しく阻害することになります。そして最後は歯です。8020運動というのをご存知でしょうか?80歳で自分の歯を20本残す。これが8020運動。今回は歯とアンチエイジングのお話です。

私は日本抗加齢医学会という学会で役員をしています。アンチエイジング医学の学会です。約8,200名の学会会員がいますが、その内訳を見ると一番多いのが内科医(約26%)、次に多いのは歯科医(約13%)、次いで眼科、皮膚科、婦人科となっています。歯科はアンチエイジング医学において非常に重要な分野なのです。それはなぜでしょう?

ヒトは生きていくために栄養を摂取しなければなりません。その栄養は基本的には食事という形でとるわけで、食べるという行為は口から始まります。生まれたての赤ちゃんもまだ歯が生えていない口を上手く使ってお母さんのおっぱいを飲むことで生きていくのです。反対に、お年寄りが老衰で亡くなる時先ずは歩けなくなり、だんだん衰弱し最後に物を食べられなくなると死を迎えることになります。食べるという行為は生きることそのものでもあるのです。その食べることを支える器官が歯を中心とした口腔なのです。口腔の機能がしっかりしていなければ健康長寿を全うできないと言ってもいいくらいです。

 

たかが歯垢と思っていると
恐ろしい歯周病の原因に

 

歯科医学において口腔機能の低下のことを“オーラルフレイル”と呼びます。オーラルフレイルになる大きな原因のひとつは歯周病です。歯周病はプラーク(歯垢)が原因で起こる病態です。プラークは爪で歯を引っかくとついてくる白くてネバネバしたもので実態は細菌の塊です。食後数時間でプラークの形成が始まります。1mgの歯垢にはおよそ300種類、数にすると数億~10億個もの細菌が棲みついています。唾液の成分から薄い透明な膜がつくられ歯の表面をおおいます。この膜は病的なものではなく唾液の持つ性質で、食事によって低下するpHの変化から歯を守ろうとする役割があります。ここに各種の細菌が付着し、さらに糖分に含まれる材料を使ってプラークとなります。プラーク中の細菌は、食物中の糖分を栄養源にして増殖を続けます。さらに、ネバネバした物質をつくり出し歯の表面に強力に付着します。プラークの段階では歯みがきで取り除くことができますが、やがて歯石に変化すると歯みがきでは取り除けなくなり、歯周病の原因となっていきます。

歯周病とは、プラークの中の細菌による歯肉の炎症を発端に、歯を支える組織に炎症と破壊が進行し、最終的には歯が抜けてしまう慢性炎症性疾患です。30歳代以降、加齢とともにその罹患率は高まり、働き盛りでもある40〜50歳代では9割近くが罹患しているともいわれています。歯周病は成人の抜歯原因の50%を占め、高齢者のQOL(生活の質)を低下させる要因となります。近年、この歯周病は歯を喪失する原因になるばかりでなく、全身の健康に大きな影響を与えていることがわかってきました。歯周病がある程度進行すると、歯と歯肉の間に歯周ポケットと呼ばれる隙間が生まれます。この歯周ポケットの歯肉に面した部分が炎症を起こし、潰瘍が形成されるとそこから細菌が侵入したり、炎症性サイトカインという化学物質が産生されます。これらが原因となって、糖尿病、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患、呼吸器疾患、早産・低体重児出産、骨粗鬆症などを引き起こすことが明らかになってきました。歯周病は局所の病態ではなく全身性疾患を招く正にアンチ−アンチエイジングなことなのです。

 

大切なのは日々のセルフケアと
定期的なプロフェッショナルコントロール

 

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歯周病にならないようにするためには、テレビのCMでもよく耳にするプラークコントロールが大切です。一度プラークが歯に着くと、口をゆすいだくらいでは取ることはできません。正しい歯磨きやデンタルフロス、歯間ブラシでのケアが必要です。プラークを落とさずに放置しておくとやがて石灰化して歯石に変化します。この状態になると普通の歯磨きでは落とすことができません。プラークコントロールとは単なる歯磨きのことではなく、口腔内にプラークが無い状態を保つことなのです。

日々の歯磨きやデンタルフロスを用いたセルフケアに始まり、プラークが付着しやすくなる原因となる歯石を歯科医院で除去したり、食生活に注意してプラークの発生しやすい甘い食べ物を控えたり、間食を控えたりといったことも、プラークコントロールの一環です。プラークコントロールには、大きく分けて日々自分で行うセルフケアと、歯科医院で行うプロフェッショナルコントロールとがあります。

基本となるのは日々のセルフケアで、歯ブラシやデンタルフロスを駆使してしっかりプラークを落とすことが大切です。プロフェッショナルコントロールとは、歯科医院で行う施術で、日々のセルフケアでは対応しきれない歯の隙間や歯周ポケットのプラークを除去したり、歯石を取り除いたりしてプラークが付着しにくく手入れをしやすい状態にします。日々のセルフケアをしっかり行いつつ、定期的に歯科医院でのプロフェッショナルコントロールを行うことで、より確実にプラークフリーな口内環境を保つことができるのです。歯科医院は虫歯や親知らずが痛んだりした時しか行かないという人が多いようですが、アンチエイジングのためには3〜4ヶ月に一度くらいの頻度で歯石除去を含めたメンテナスをしに通うことをお勧めします。因みに、私は友人の歯科医院に毎月通ってプロフェッショナルコントロールを受けています。

プラークコントロールには、プラークを付着させない毎日の生活習慣も大切になってきます。例えば不規則な食事や間食、糖分の過剰摂取、口呼吸、喫煙、片側だけで物を噛む偏咀嚼、食物繊維質の摂取不足などはプラークが形成されやすい原因となります。最近では、プラークが付きにくくなり歯周病菌への抗菌的作用を持つロイテリ菌という乳酸菌を使ったプロバイオティクスヨーグルトが発売されました。こういったものを上手く取り入れるのも良い方法ですね。

この記事を監修された先生

青木 晃あおき あきら

抗加齢医学専門内科医。日本健康医療学会常任理事。日本抗加齢医学会評議員。日本健康医療学会健康医療認定医。日本抗加齢医学会専門医。メディアでのわかりやすい解説に定評がある。

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