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2022.03.08
【特集】長年頑張ってきた「ひざ」、労ってますか?
関節の痛みとうまく付き合う
・潜在患者数(X線診断による)3,000万人
・変形性ひざ関節症患者数1,000万人
・50歳以上の女性の発病率、男性の1.5倍(厚生労働省調査による)
人は歩いているときに、実に自分の体重の3~4倍もの負荷をひざにかけているそうです。生まれてから今までずっと酷使し続けているひざですから、高齢になると痛くなるのはむしろ当たり前の話なのかもしれません。今回は膝の痛みの代表的な症状である変形性ひざ関節症のことも踏まえて予防やケアのポイントについてご紹介します。
長年酷使してきたひざでは軟骨がすり減って骨と骨がぶつかっている!
階段を昇り降りする時、座っていて立ち上がる瞬間、痛みで崩れ落ちそうになったり、ズキンッ!と強い痛みに襲われたり、そんな経験はありませんか? 痛みの頻度が高くなってきているという人は、もしかしたら軟骨がすり減っているのかもしれません。
ひざ関節にはクッションのような軟骨という成分があり、曲げ伸ばしや着地時の衝撃を吸収する働きがあります。しかし、加齢とともにすり減る傾向にあり、クッションがなくなると、骨と骨がぶつかり合うため、それが痛みになって現れるのです。
要介護や要支援が必要となった原因をトータルで見ると、関節系を含む運動器の疾患が最も多いと言われており、移動時に転倒などのリスクにはなるべく早く対処しておくことが重要です。なにより、ずっと酷使してきた自分のひざですから、しっかり労って、末永く付き合えるようにメンテナンスしてあげましょう。

予防・ケアの7つのポイント
1.体重を適正に
体重が1kg増えると、ひざにかかる負担は3kg増えると言われています。メタボ診断されたことがある、お腹周りが気になるという人は適正体重へウエイトコントロールを心がけましょう。
2.あたためる
痛みが続く時にはあたためるようにしましょう。あたためる際は、保温性のあるサポーターを装着したり、入浴でも効果が期待できます。
3.水中ウォークも◎
歩くことがツライ方は、プールでのリハビリも効果的。浮力が働くため、ひざへの負担が大幅に軽減し、筋肉を効率良く鍛えることができます。
4.階段では手すりを
階段の昇降は体重の6〜7倍の負荷がかかると言われています。階段を使う際はなるべく手すりを持って、膝への負担を軽減してください。
5.サポーターを装着
関節を支え、負荷を軽減してくれるサポーターは、ひざに不安がある方、ウォーキングなどをする人は、なるべくつけるべきです。
6.歩きすぎない
1日8000歩など、様々な指標はありますが、痛みを我慢してまで歩く必要はありません。長距離を連続して歩いて痛み出すと、バランスを崩してしまい、他の部位を痛める可能性もあります。歩くこと自体は膝の健康を保つためにも大切ですので、短い距離の頻度を高めるなど工夫してみましょう。
7.ストレッチする
痛いからといって安静にしすぎると、膝周りの筋力が低下し、歩行力そのものが弱まります。無理して歩かずとも筋力を維持できますので、定期的にストレッチを行いましょう。

船山先生の健康相談室Q&A
健康をキープするために、今からどんなことに取り組んでおけばいい?皆様から多く寄せられる質問に対し、船山先生がQ&A方式で分かりやすく解説します。
Q.今、湿布をしていますが、ひざサポーターもした方がいいですか?
A.サポーターにはひざ関節を安定化する効果とひざ関節を保温する効果がありますので、湿布を使用する場合でも同時に使用するのをお勧めします。
Q.片方のひざだけが痛いのですが、両方サポーターをした方がいいですか?
A.痛みが片足のみの場合は片側だけでも問題ありませんが、反対側も少し痛い時がある、ガクガクすることがある場合は予防のためにも両方をお勧めします。
Q.ひざのグラつきってどういうこと?
A.ひざ関節の内側と外側にある側副(そくふく)靭帯や前十字(ぜんじゅうじ)靭帯がゆるみ、ひざが不安定になる症状のことです。
Q.ひざが痛い時は、温める?or冷やす?
A.怪我や捻挫などの急性期症状の時は冷やし、いつも痛い、というような慢性症状の時は温めてください。
Q.サプリはどんな人が飲むといいですか?
A.サプリメントにはひざ関節の軟骨に栄養を与える効果がありますので、ひざの軟骨が痛んでいる変形性ひざ関節症の方に良いですね。
Q.普段は痛くないけど、階段の昇り降りがつらい。サポーターはつけた方がいいのですか?
A.ひざ関節の伸展や屈曲運動で関節を安定化させる効果がありますので、階段の昇り降りはとても楽になると思います。
監修:済生会横浜市東部病院(整形外科)
船山 敦先生
この記事を監修された先生

TV番組等で、一般視聴者にも医学用語をわかりやすく解説し好評を得ている。慶應義塾大学医学部卒。日本整形外科学会認定専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本体育協会スポーツドクター認定医。専門は、股関節外科、膝関節外科、人工関節手術。