Health
パーツ別お悩み
2021.10.19
【特集】加齢と眼のケア
加齢と共にほとんどの人が衰えを感じるのが「眼の機能」。視力の低下が進むとQOL(生活の質)の低下にもつながりやすく、最近では認知機能の低下に関係しているという研究結果も報告されています。
眼は加齢と共に衰えます。だからこそ健康でも、日常的なケアが大切です。
長引くコロナ禍において、テレビやタブレット、スマートフォンを見る時間が増えた、目が疲れやすくなったという方も多いのではないでしょうか。40歳代を超えたあたりから老眼に始まり、白内障、緑内障、加齢黄斑変性症と、眼は年齢とともにどんどん衰え、特有の病気も発症しやすくなります。とりわけ、白内障は80歳を越えるとすべての人が発症するとまで言われています。
当然のことながら眼が衰えることによって、視力もどんどん落ちてきます。実はこの視力の低下が、二次的健康被害をもたらす可能性があると言われています。それが認知症。人が受ける情報のおよそ8割は視覚からと言われており、この情報を脳が受け取り日常生活を送っています。しかし、物を見る機能が落ちて眼が受け取る情報量が減少すると、比例するように脳への刺激が減り、認知機能も落ちてくる可能性が大規模な調査によって示されました。認知症は進行性の病気であるため、症状が出てから白内障手術で視力を取り戻したとしても認知機能を元どおりにすることはできません。眼の調子が悪いと感じた時にすぐに行動に移すのはもちろん、眼は加齢と共に誰もが衰えるという事実を踏まえて、しっかり見えている時から労わることが大切です。
視力低下を引き起こす!高齢者に多い眼の病気
80代のほぼすべての人が発症!加齢性白内障の発症率
自覚症状のない白内障初期の段階を含めると極めて多くの人が進行し始めていると言われています。
【白内障】
・二重、三重に見える
・光を眩しく感じる
・ぼやける
・白っぽく霞む
【緑内障】
・いつの間にか視野が欠けている
【加齢黄斑変性症】
・歪んで見える
・中心が黒く見える
・視野が狭くなる
意外と知られていない!視力と認知機能の関係
視力の低下は、認知機能の低下につながる可能性がある
奈良県立医科大学の大規模疫学調査「藤原京eyeスタディ」によると、視力のいい人の方が認知機能が高く保たれていることがわかりました。眼は情報の8割を取得する器官であり、視力が低下することで脳に送られる情報が減少するのではと考えられています。
認知症疑い(MCI※)割合
視力0.7以上 5.1%
↓認知症発症リスクが2.6倍アップ!
視力0.7未満 13.3%
※MCI:認知症の前段階と言われ、放置しておくと認知機能の低下が進み、認知症になるリスクが高くなる状態のこと
藤原京eyeスタディ(奈良県立医科大学):2012年の眼科検診で70歳以上(平均年齢76.3歳)約2900名が参加した大規模眼科疫学調査
疲れたと感じたらやってみよう!目の健康を維持するためのセルフケア
遠近トレーニング
ピント調整力を鍛えるトレーニングです。眼の疲れを感じた時にやってみましょう。
①親指の爪を目の前に持ってきて、見る。
②同じ高さをキープし、目を離さず腕を伸ばす。
手軽にケアできるからオススメ!目にいい栄養を摂る
【アントシアニン】
眼にいい食べ物として有名なのが、アントシアニンが豊富なブルーベリー。強い抗酸化作用で血流を促進し、眼の緊張をほぐす働きがあるとされています。
【アスタキサンチン】
アスタキサンチンはカロテノイドの一種でエビ・カニなど甲殻類に多く含まれています。その抗酸化作用はビタミンEの1000倍と言われており、しっかり摂ることで目の老化を遅らせることが期待できます。
グー・パーまばたき体操
衰えた毛様体筋をストレッチできます。入浴中などリラックスタイムにやってみましょう!
①2秒間、眼をぎゅーっと閉じる。
②眼を見開いて2秒間キープする。
あたためて疲れ目スッキリ!
漢方医学の治療法のひとつで、体をあたためて血の巡りを促す方法を温罨法(おんあんぽう)と呼びます。この温罨法を目に適用し、効果的にあたためることができるのがホットアイマスク。目の周辺の血管を広げ、筋肉をリラックスさせることができます。
監修:医療法人社団 済安堂
井上眼科病院 院長
井上 賢治先生
この記事を監修された先生

日本眼科学会眼科専門医。日本緑内障学会評議員。日本ロービジョン学会理事。日本眼科医会常任理事。東京都眼科医会常任理事。わかりやすい解説に定評がある。