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2016.11.24
特集:耳鳴り、めまい、こんなにある耳のトラブル
大事な耳の2つの役割
私たちの耳は、外部の空気振動を「音」として捉えて脳に伝えること、また、身体が今どのような姿勢をとっているかを脳に伝えて「平衡感覚」を保つという2つの大事な役割を持っています。平衡感覚については耳の最深部にある「内耳」が関わっていますが、聴覚全般については外耳・中耳・内耳のすべてが密接に関係しています。そのため、耳やその周辺器官にトラブルが発生すると、多くの場合、「耳鳴り」の症状が現れます。
耳鳴りの種類と難聴
音がしていない静かな場所なのに耳や頭の中で「キーン」という高音や「ゴーッ」とか「ザーッ」という低音が聞こえる症状が耳鳴りです。耳鳴りは、体内に何の音源もないのに本人にだけ聞こえる「自覚的耳鳴り」と、体内に何らかの音源があって、本人にも本人以外にも実際に聞こえる「他覚的耳鳴り」の2種類に大別されます。耳鳴りを訴える人のほとんどが自覚的耳鳴りです。
自覚的耳鳴りが起きる仕組みはよく分かっていませんが、多くの場合「難聴」を伴います。耳鳴りで聞こえるのと同じ性質の音が聞こえにくくなっているのです。
加齢による老人性難聴
「耳が遠くなる」とはよく使われる表現ですが、これは「老人性難聴」を示しています。老人性難聴は加齢による内耳の機能低下や聴神経細胞の減少から起こる難聴で、まず両耳に高音の耳鳴りが聞こえ始め、高い音が聞こえにくくなります。序々に音域が広がって、低い音も聞こえにくくなっていきます。「耳が遠いのに悪口だけはよく聞こえる」と言われるのは、高い声は聞こえにくくても、低いヒソヒソ声は聞こえることから、このような誤解が生じたと思われます。
その他にも次のような症状がある場合は注意が必要です。
●声は聞こえているが、言葉の理解が悪い、あるいは遅い。
●突然話しかけられると気づかない。
●車の音、警笛、踏み切り警報などに気づかない。
●最近、テレビやラジオの音が大きくなった。
難聴は日常生活に支障をきたすだけでなく、孤独感や不安といった精神的ストレスに襲われがちです。特に高齢者は、難聴が引き金で「うつ」になったり認知症に移行することも少なくありません。「どうせ話しても聞こえないから」などと言って孤立させず、大きな声でゆっくり話すよう心がけましょう。
強いめまいはメニエール病の疑い
内耳障害の一種「メニエール病」でも、耳鳴りの症状が出ます。メニエール病は内耳のリンパ液が過剰となって水ぶくれ(内リンパ水腫)を起こし、神経を圧迫して、めまい、耳鳴り、難聴などを起こします。しかし病気そのものの原因については、はっきり分かっていません。
メニエール病は、何の前触れもなく周囲がぐるぐる回るような激しいめまい(回転性めまい)に襲われるのが特徴です。30代後半から40歳代の女性に多く発症します。発症者の多くは几帳面で責任感が強く、精神的・肉体的疲労、ストレス、睡眠不足などが引き金になると言われています。めまいは30分ほど続き、耳鳴り、吐き気、嘔吐、冷や汗、脈拍が速くなるといった症状が現れます。
めまいには、回転性めまい以外にも雲の上を歩くようにフワフワする『浮動性めまい』があります。浮動性めまいは、過度のストレスによって自律神経が乱れることで発症します。
耳は音を聞いたり全身の平衡感覚を司る大事な器官です。ストレスが溜まっていると感じたら日常生活を見直し、十分な休養と正しい生活リズムで自律神経のバランスを整えましょう。異常を感じたら、早めに医師に相談することも大切です。