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2016.11.24
特集:認知症は早期発見が大切
認知症とは
いわゆる物忘れは、脳の神経細胞が減少する老化現象です。それに対して認知症とは、通常の老化より早く神経細胞が減少していき、脳の知的な働きが急激に低下する病気です。
物忘れは体験の「一部」を忘れるのに対して、認知症は体験したことを「丸ごと」忘れてしまいます。例えば、物忘れは食べた内容を忘れても、ご飯を食べたことは忘れません。認知症では、ご飯を食べたこと自体を忘れてしまうのです。
認知症の症状には個人差があり、本人の性格、生活習慣や環境、病気の進行度合いなどによって違いますが、大きく4つに分けられています。
(1)知的能力の低下
物忘れが悪化する健忘、日時・場所や人が分からない見当識障害、計算ができない等の思考障害が見られます。
(2)心の症状
夜になると興奮したり、妄想や幻覚、うつ状態などが現れます。不眠や徘徊が起こり、暴力的な性格に変化することもあります。
(3)身体的症状
歩行障害や嚥下障害などの身体機能の低下が見られるようになります。
(4)日常生活能力の衰退
今までは普通に行えた食事、トイレ、入浴、着替えなどの能力が衰えてしまいます。
2つの認知症
認知症は「脳血管性認知症」と「アルツハイマー型認知症」の2つに大別されます。
「脳血管性認知症」は脳血管障害によって起こります。直接的な原因疾患の多くは脳梗塞や脳出血で、これらは動脈硬化によって引き起こされます。発症すると脳に酸素や栄養が行き渡らなくなり、神経細胞が破壊され、脳の働きに大きなダメージを残します。 「アルツハイマー型認知症」は、何らかの原因で脳の神経細胞が障害を受け、変性した結果、脳が萎縮してしまう病気です。まだ原因が解明されておらず、特効薬も治療法も見つかっていません。物忘れが始まり、ゆっくりと進行していきます。置き忘れや、何度も同じことを聞き返したり、記憶障害、時間や月日、場所などがわからなくなっていきます。
早期発見、早期診断、早期対応が大切
脳血管性認知症の原因となる動脈硬化は、加齢によって進むのは仕方ありませんが、高血圧、高脂血症、糖尿病などを防ぐことで動脈硬化の進行を遅らせることはできます。食生活の改善、規則正しい生活、適度な運動、禁煙など、生活習慣病を防ぐことは血管の健康にもつながるのです。
また、認知症に似た症状や病気にせん妄やうつ病があります。目や耳が悪くなったため認知症のように見える場合もあります。何かおかしいと感じたり、普段と様子が違うと思った時は、早めに医療機関に相談しましょう。
認知症の人との接し方
最も不安や悲しみや憤りを抱えているのはご本人です。困っていることがあれば、ご家族は急かさず、さりげなく本人のペースで、できないこと、わからないことをお手伝いしてあげましょう。
また認知症の介護は家族だけで解決できる問題ではありません。認知症の人を支えていくためには、周囲の理解と支援が不可欠です。息抜きをしたり、相談できる場所や、認知症をオープンにし、支援を得られる環境を確保することも必要です。