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2016.11.24
特集:血液の健康―あたなの血流はスムーズですか?
血液と血管
私たちの身体は、血液が全身を循環することで疲労が回復し、細胞が生まれ変わり、健康的な肌や臓器を維持することができるのです。血液は心臓から送り出され、動脈から毛細血管を通って全身をめぐり、再び毛細血管を経て静脈を通り、心臓へ戻ってきます。全身の血管を一本につなぐと、なんと地球を約2周半するほどの長さになります。この長い血管を、血液は約50秒で1周するくらいの速さで流れます。血液の健康は、この流れをスムーズにするために大切です。
一番太い大動脈の直径は3〜4pあり、毛細血管の直径はわずか5〜10μmです。赤血球は、自分の直径より細い毛細血管を通って全身をめぐるために、伸びたり細くなったりと形を変えられる「変形能」という能力を持っています。ところが糖尿病などで血液中の糖分が過剰になったり悪玉コレステロールが増えると変形能が低下してしまい、血流が悪くなってしまいます。
血液は、赤血球や白血球、血小板の血球部分と液体の血漿とでできています。赤血球は全身の細胞に酸素を送る重要な役割を担っており、血球成分の中で最も多いので、血液の流れに大きな影響を与えます。
白血球にはいろいろな種類があり、アレルギー反応を起こして身体を守るもの、細菌やウイルスを退治するマクロファージに変化するものなど、主に免疫にかかわる働きをしています。必要以上に増えると血流が悪くなります。
止血に重要な役割を果たす血小板ですが、アルコールや糖分の摂りすぎは血小板の凝集性や粘着性を高めてしまい、流れにくい血液になります。
ドロドロ血液が引き起こす病気
血流がスムーズな状態とは、血液中の白血球、赤血球、血小板が滞りなく流れている状態のことです。これに対して「血液がドロドロ」とは、さまざまな原因から血液の循環が悪くなり、栄養素や酸素が運びにくくなっている状態を言います。
血液ドロドロの状態は、いくつかの条件が重なりあうことによって引き起こされます。血液中の脂質や糖分が過剰になったり、悪玉コレステロールが増加したりすることで赤血球が変形しにくくなり、血液の流れが悪くなってしまいます。またストレスや喫煙、過労、睡眠不足が続くと、白血球の粘着性が高まってベタベタの状態になります。さらにアルコールや糖分の摂り過ぎで血小板の凝集性や粘着性が高まり、血小板がザラザラした状態となります。 血液がドロドロでは、全身に酸素や栄養素が行き渡りにくく、老廃物の排出も滞ってしまいます。血液の流れが悪くなると、肩こりや冷え性、いつまでも疲れがとれない夏バテなどの症状が現われます。
ドロドロ血液の怖さはそれだけではありません。動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病などの引き金にもなってしまいます。これらの病気は日本人の死因の上位を占めている病気です。血液の流れが悪くなったり、血管に血栓が詰まったりすることが原因となって発症します。
スムーズに血液が流れる生活習慣
血液の流動性を高め、スムーズにしておくには、食生活を中心とした生活習慣、適度な運動、水分補給に気を配ることが大切です
食べ過ぎ飲み過ぎに注意して腹八分目を目指しましょう。余分な脂肪や糖分を体内に蓄積すると血流が悪くなるだけでなく、肥満のもとにもなります。特に動物性脂肪の摂り過ぎは血液中の悪玉コレステロールが増え、糖分の摂り過ぎは中性脂肪が増加します。
また、運動不足は肥満になるだけでなく、食後の高脂血状態を引き起し、血液ドロドロ状態を招きます。適度な運動を心がけましょう。