[特集] 丈夫な骨を保つ 骨粗鬆症[こつそしょうしょう]にご用心

最近、脂肪肝や肝硬変なんて言葉をよく耳にするけど、お酒を飲まないのに肝臓が悪くなることもあるのかなぁ。そもそも肝臓にはどんな役割があるんだろう?教えて中山博士!」「肝臓は、食べ物から摂り入れた栄養素を体全体におくり、有害なものを体外に排出する働きを担っています。肝臓を守ることは、健康を守ることでもあるのです。今月は肝臓の働きと、生活習慣病を下地として起こる脂肪肝についてご説明しましょう。」

骨粗鬆症になると骨折の危険性が高くなります。高齢者が「寝たきり」になる原因の第3位は骨折といわれ、注意して生活することが大切です。骨のことを知り、骨粗鬆症とはどんな病気で、どのような対策が必要か、きちんと理解していきましょう。

骨の大部分はカルシウム。血液中にもあって重要な役割を果たす

 骨には、①立ったり座ったりするときなどに体重を支え、姿勢を保つ。②脳や心臓、肺などの臓器を囲んで外部の衝撃から守る。③体に必要なカルシウムを蓄える。④骨髄で赤血球や白血球、血小板など血液成分をつくるといった役割があります。体内のカルシウムの約99%は骨や歯の中にあり、約1%は血液中にあります。血液中のカルシウムは脳の中の情報伝達やホルモンの分泌、筋肉の収縮、血液凝固など、非常に重要な役割を果たしています。このため血液中のカルシウムが足りなくなると、骨を壊してでも血液中のカルシウムを一定に保とうとする働きをします。
 また骨には、骨をつくる「骨芽細胞」と骨を壊す「破骨細胞」があり、骨が古くなると破骨細胞が集まって骨を壊し(骨吸収)、新しい骨をつくる準備をすると、骨芽細胞が集まりコラーゲンを分泌しカルシウムを原料に新しい骨をつくります(骨形成)。骨吸収と骨形成をくり返す「骨代謝」によって骨はしなやかさを保っています。健康な骨ではさかんに骨代謝が行われていますが、骨代謝のバランスがくずれると骨量が減少し、骨はもろく、折れやすくなります。この状態が骨粗鬆症です。
 骨量は思春期ごろから急速に増加し、20代でピークに達して40代ごろまでは一定の量を保ちます。しかし女性は閉経を迎えて、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が低下すると、骨量も減少し、骨粗鬆症にかかる危険が大きくなります。エストロゲンには骨の破壊が進むのを抑える働きがあるからです。男性は、女性ほど急激に骨量が減少することはありません。このため骨粗鬆症は女性の病気と思われがちですが、男性でも高齢になるにつれカルシウムの摂取量が不足することなどから、60歳を過ぎると徐々に増え、70代では10人に4人が骨粗鬆症といわれています。骨粗鬆症は骨折して初めて気づく場合が多いため、予備軍はさらに多いとも考えられます。

 

カルシウム不足で引き起こされ背が縮んだように見えることも

 骨粗鬆症の一番の原因は加齢です。カルシウム摂取が不足したり、加齢によって骨をつくるためのホルモンが減少すると骨代謝のバランスが崩れ、骨量が少なくなります。この他にごく小さな”ひび“ができたり、カルシウムを定着させるコラーゲンの不足で骨成分が劣化するといったことも加齢によって起こってきます。こうした骨の変化も骨をもろくしていくのです。加齢以外にも、喫煙、過度の飲酒、運動不足、ストレスなど、骨粗鬆症のリスクを高める要素があります。
 骨粗鬆症は自覚症状が少なく、代表的な症状は骨折です。とくに多いのが太ももの付け根(大腿骨頸部)の骨折です。転倒などによって大腿骨の骨折を起こすと、歩くことが困難になり、そのまま「寝たきり」になってしまい、認知症へとつながってしまうことも少なくありません。また、重いものを持ったり、転んだりして過度に負担がかかると、椎骨が上下から圧迫され、脊椎(背骨)の圧迫骨折を起こすこともあります。椎骨の変形の種類や圧迫骨折を起こした骨の数によって脊椎はさまざまに変形します。このため身長が低くなったり、姿勢が変わったりします。高齢者で背が縮んだり、腰が曲がったりということが見られるのも骨粗鬆症が原因だと考えられます。脊椎の圧迫骨折は、骨髄を圧迫し、歩行障害などを引き起こすこともあります。
カルシウム不足 こんな様子が出ると要注意!!

 

危険な骨折を防ぐために筋力強化や暮らし方の工夫なども重要

 骨粗鬆症では全身の骨が折れやすくなるので、転んで手をついたときに橈骨(手首)や上腕骨頸部(腕の付け根)を骨折することもあります。また脊椎の中には脊髄神経が通り、脊椎骨の間からさらに体の各部位に向かう神経の枝が伸びているので、椎骨の圧迫骨折が起こると背中や腰、ときには胸やお尻、下肢にも強い痛みを感じることがあります。脊椎の圧迫骨折で背中が丸くなると、内臓が圧迫され、消化不良や便秘になったり、食べたものが食道に逆流しやすくなり胸焼けがしたりします。圧迫骨折の痛みのために、日常生活での動きが制限されたり、行動範囲も狭まってしまいます。一方、圧迫骨折を起こしていても痛みを感じない場合もあります。背中が丸くなるなど、何らかの変化に気づいたときは早めに医療機関を受診することも大切です。
 骨粗鬆症を発症すると、最も問題になるのは骨折です。骨折を防ぐために大切なのは転倒を避けることですが、高齢になると筋力やバランス感覚が低下して転倒しやすくなります。医師に相談するなど骨量の低下を進行させないようにするとともに、筋力やバランス感覚を強化して、転倒しないような体をつくる。そして、階段に手すりをつけるなど、生活の中から転倒の危険を遠ざけるために、住環境にも注意し、身の回りの整理や暮らし方の工夫をしていくことも重要なポイントです。
骨粗鬆症による典型的な骨折