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めぐり・冷え
栄養学
2016.11.24
【Tips】血管と血液の健康のために
血液サラサラといった言葉をよく耳にします。血液サラサラとは血液が全身の血管をスムーズに流れている状態といえます。血液はサラサラと流れ、血管もまたその流れを妨げない。こうした状態こそが、血管と血液の健康にとっては望ましいといえるでしょう。
大切なのは食事など 毎日の生活習慣の積み重ね
とても大切な血管と血液の健康。しかし、動物性脂肪を摂りすぎると飽和脂肪酸が増えて赤血球の膜が硬くなり、血管の中を赤血球がうまく変形して通り抜けることができず、重なり合って血液が流れにくくなってしまいます。もろくなった赤血球の膜が破れてしまうと血小板が凝集し、血栓を作るもとになります。血栓によって血液の流れが悪くなると活性酸素が増え、白血球の粘着性が高まってさらに血液の流れを悪くします。
こうしたことを考えると、血液をきれいに健康に保ち、血管の老化を防ぎ、しなやかなさを保つのは、毎日の生活習慣の積み重ねといえるでしょう。とりわけ大切なのは基本となる食生活の見直しです。三食をきちんと、一定の時間をおいて食べるようにしましょう。
もちろん食べすぎ、飲みすぎも避けるべきで、とくにタバコは血液にも血管にもよくありません。そして血液の状態をもっとも左右するのは食事の内容です。バランスよくいろいろな食品を摂ることが大切です。
イワシやサバ、サンマ、アジ、マグロなどに多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)は不飽和脂肪酸で赤血球をやわらかく、また血小板を固まりにくくする働きをもつとされ、血栓ができるのを予防する効果があります。
タマネギを切ったとき涙が出る辛み成分も血小板の凝集や血栓ができるのを防ぎ、血液をサラサラにする効果があることが知られています。ネギやニンニクなどの成分も同様で、納豆に含まれるナットウキナーゼには血栓を溶かす働きがあるとされています。
また、良質のタンパク質を不足させないこととともにコレステロールのバランスを保つことも大切です。コレステロールは細胞壁の材料となる必要な成分ですが、増えすぎると血管によくないのはよく知られている通り。とはいえ、これは程度の問題ですから、まったくコレステロールを遠ざけるべきではありません。大豆製品は腸でコレステロールを材料とする脂肪酸の吸収を抑制する働きがあるので、豆腐や豆類を積極的に食べるようにするとよいでしょう。
体を活性酸素から守る抗酸化物としてポリフェノールがあります。これにはワイン、ブドウ、ブルーベリーなどに多く含まれるフラボノイド、緑茶に含まれるカテキン、大豆に含まれるイソフラボンなどがあります。
さらに、ビタミンE、C、Aなども活性酸素の働きを抑え、コレステロールが酸化して血液の流れを悪くするのを防ぎます。ビタミンEとCは連携して働くため、常にこの二つのビタミンは同時に摂取するようにしましょう。ビタミンEを多く含む食品はアーモンド、ナッツ類、ウナギ、サンマ、アボカドなど。ビタミンCはイチゴ、グレープフルーツ、柿、小松菜などに多く含まれます。ニンジンや春菊など緑黄色野菜に含まれるカロテン、ゴマ(すりゴマやゴマ油で摂るとよい)に含まれるセサミノール、豆腐に含まれるサポニンも抗酸化作用をもっています。
トマトに多く含まれるリコピンも血液と血管の健康には欠かせません。これは活性酸素の働きを抑えます。生でもよいのですが、煮てスープにしたり、オリーブ油などで炒めて食べるとよりよく摂取できます。野菜が体によいとわかっていても、高齢になると生野菜はたくさん食べにくくなるもの。温野菜にしたり、ミキサーでジュースにするなど工夫してみましょう。
血管、血液によい成分が含まれている食物を紹介してきましたが、いずれも「ばかり食べ」はよくありません。いろいろ取り混ぜ、三食やおやつに振り分けて摂ることが大切です。また、体によい成分だからと無理食いするのではなく、サプリメントなどを上手に活用して必要な栄養素を補い、バランスを保っていきましょう。
食事とあわせて血管と血液のために大切なことは水分の摂取です。高齢になると体が暑さを感じにくくなりますが、意識して水分補給を心がけましょう。お風呂あがりや朝起きたときに一杯の水を飲むようにするのはとてもよいことです。就寝時、水を枕元にコップ一杯おいてトイレに起きたときなど一口飲むのもよいでしょう。